病は気から 病院へ行こう2

 ■1992.12.19(111min.) 
 ■監督:滝田洋二郎
 ■脚本、原案:一色伸幸
 ■出演:小泉今日子、三上博史、真田広之、柄本明 、 ベンガル 、天本英世、 もたいまさこ
 ■製作:フジテレビジョン、配給:東映

レヴュー

ノッケからそこはかとないフェロモンをその身にまとわせてご登場の真田広之
今回は大病院の副院長。
しかも「内科」医。
(設定から花びら全開って感じ!...ばか。)


真田広之が登場すると殺風景(?)だった病室に一気に広がる香しい色。
一言話し始めるとそのあまりの色っぽい声にすでにノックアウトは秒読み段階。
さすがは滝田監督。
今回も真田フェロモンを1ミクロンも余すことなく全開させてくださってます!
さあ、皆さんでこの病院に無期入院致しましょう、そうしましょう。
病名はもちろん、「恋の病」(「濃い」の間違いだろ?)

 *****

 まああ、なんて素敵なの?そのあくび。
(だだ溢れ、真田フェロモン。)
全身が写る鏡の前でやる気なさそうに目を細めてネクタイを選んでおられます。
そこにナースから声がかかって「はいよ。」ってまたもや気の抜けたお返事。

かと思ったら両手でサイドの髪をかきあげ、ヘアースタイルのチェック(ノ≧▽≦)ノ
鏡に向かってスマイルの確認が済んだら、指の伸縮運動で軽く気合いいれてみます。
出動準備を怠らないなんてナイスなお医者様。
しかも超男前、加えてちょいナル気味。
今回も許容範囲バッチリです、真田さん。

患者を前にかる〜い口ぶりの内科医さま。
しかしどこから見ても
「白衣を着た悪質なイケメンホスト」
さすがです、真田さん。

軽く息を抜きながら患者(キョン2)に語りかける口調は貢がせるために甘い言葉でささやくナンバーワンホストそのものでございます。
(行きたい、このホストクラブ。( ̄ii ̄;))

優しい言葉で額をチョンチョンだって、どこから見てもヤサ男。
注射針のカバーを口で外してフッと吹き捨て顔はどこから見てもダテ男。
吐瀉物の中に一筋の血液を発見して検査に丸め込む言動はどこから見てもサギ男。
な〜んてインチキくさいお医者様。
恋のタメイキ(*δoδ)はぁ〜.:♪*:・'゜♭.:*・♪'゜。.*#:・'゜.:*♪:・'。

ワタクシ的には大好きなお食事シーン。
今回は「お蕎麦」です。
だって、品がいいんですもの。真田さんの食べ方って。
何とも無い患者さんから如何にして正当にお銭を巻き上げたか、してやったりの表情で事務長とメシ談義。(なんて医者だよ、もうウットリだわ。)

そんな余裕しゃくしゃくでおっきなエビ天を口に咥えた時、やってくる検査報告。
なんともかわいい軽い狼狽が結構好き。
しかし、事態は実は深刻。

だって、キョン2のレントゲンから癌の影が発見されたんですもの(そりゃ大変だ。)
帰ろうとしてたキョン2を呼び止め入院をススめます。
「君はラッキーだよ。急性アルコール中毒からこんな病気(胃潰瘍と言ってある)が見つかって。」と、両手でキョン2の二の腕をポン(何の勧誘だ?一体。)
そこからキョン2を病院へ連れ戻す仕草はどこからみても一流ホストのエスコートですな。
流れるような口調がたまりません。(>_<)

 ******

さて、副院長は診察もされてます(当たり前だ。医者なんだから。)
末期患者の危篤状態にやれるだけのケアを施します。
でもギリギリまで壁にもたれてる仕草と表情が落ち着いたお医者様しててカッコいいの。
で、バイタルさがった患者の呼吸確保のため口を医療器具でこじ開けます。
この時患者の歯が折れます。

何事もないようにその歯をつまみ、ポイって捨てて医療を続行してしまうちょっとSな感じがGOOD!
ホントのお医者様に見えるから不思議です。
(("▽"*) イヤン♪、お医者さんゴッコ〜(←妄想中))
精悍な内科医である兄・副院長:真田広之と、弱っちぃ今回の主役内科医である弟・保くん:三上博史。
どう見ても真田フェロモンが勝って......じゃなかった、医者としての意見の対立がございます。ここでは真田さんの方がちょっぴり悪役に見えます。
(しかーし、そんなことはどーでも良かったりして。)

 *****

さて、キョン2の点滴交換。
なぜか鼻歌まじりのご機嫌副院長。かるーい感じがグッドです。
キョン2の質問にもホントに軽く対応され、なんてウソくさいインチキな答え方。
こういうマニア向けのホストクラブがないかなぁ。

真田さんの発する声のまわりにある空気の層(バイ音)でとろけそうになるワタクシ的には、
「先生。」って言われて「ん?」って答える、
この「ん?」が好き!(( ̄¬ ̄*)じゅるぅうううう)
あー、この声で診察されたいぃーーーーーーーっ(>_<)

しかも、一番インチキくさい台詞が↓これ。
「よく言うでしょう?病は気からって。あれホントなんだから」
ウソくさい!
浮気(もしくは二股、三股)がバレたときのたらし男の言葉みたい!
このワザと優しい口調と言い、そっと微笑む仕草と言い、軽く狼狽を隠すうなづき加減と言い、ここですでに?フェロモン全開!(違うだろっ。)

真田広之のフェロモンが巧みに満開になっているため気付くと口元緩んでます。
入院したーい。主治医はもちろんご指名で。

うまく癌患者を丸め込んだのに、アホな保くんがドジな告知をしちゃいます。
これをインターホンで聞きながら出た言葉が
「死ね、バカ。」(医者だよね?ステキ。)
でもここで副院長は美形なだけでなく優秀で部下からの信頼も篤いと言う人柄が伺えます。
なんて素晴らしい表現力。さすが只者ではないな、お主(尊敬!)
しっかしカッコいいな君。ホントにカッコいいな、うん。

 ******

キョン2を車椅子に乗せてPCU病棟に連れていかれる副院長。表情は険しい。
厳しい口調で頼りない弟医師に彼女の申し送りをされます。
ああ凛々しくもなんてガンダムな.....じゃなかった、ハンサムなお医者様。
しかも声、声がいいーーーっ!
声が色っぽいのーーーーっ!
とろけるーーーっ!(.:*:・':*・*(´ρ`*))
んで、二人を見送る凛とした引き締まった表情がシビれるー。
また、翻る白衣が真田広之の医者としての佇まいを一段と麗しいものにしております。
嗚呼、衣装までもが君の味方さ!
そうさ、君のためにある白衣さ!
(そーかな?そーだよね?たぶん)

 *******

医療会議、1。
銭にセコイ副院長様。
対立する兄弟、のふりしてさりげなく弟のために悪役になってくれる優しい兄。
厳しく叱責したかと思えば、次の瞬間お調子者を装って各医師たちにセコい助言で薬の単価を20円あげる指示を出す超現実的な経営者な副院長様。
かなりステキですね。
内科医で副院長だわ、まさしく!(と思わせるところが実に素晴らしい)

 ******

いきなりレントゲン写真とにらめっこ。
院長に問われて、いつもの医者口調で癌告知。
しかし、このX線写真は父・院長のものだったのです。
一瞬にして表情に真剣味が加わる副院長。
淡々と語る院長を前に立ち上がり、子どもの表情ってか、「人」の表情になり軽く唇を噛み締める顔が切ない.....。

 *****

医療会議、2。
キョン2の超アイドルぶりに病院巻き込まれてそりゃもう大騒ぎさ。
その責任を保くんに思いっきりぶつける兄。コミカルな展開と経営者としてムッカーってきてる感じがかわいい。
嗚呼、何をやってもス・テ・キ!(重症。処置必要。)

 ******

緊急事態。父・院長危篤。
兄はすでに処置にはいっています。
保くんが到着した時には肺炎を併発して呼吸不全で血痰がつまってる状態。
兄は迷わず気管切開。
詩吟が趣味の父の声が出なくなると弟は反対しますが聞く耳持たず。

処置が済むと今度は心臓停止。
兄は迷わず心臓マッサージを始めます。
蘇生しても余命は二〜三ヶ月。
静かに逝かせてやりたい弟に対して必死で蘇生させる兄。

止める弟をふりはらい、白衣も脱ぎ捨て振り乱した髪もお構いなし、目はつりあがり歯をむき出しにして父にまたがり心臓マッサージを続けます。
死を直前にした父を助けようと必死で物凄い形相になる息子
「逝くな、戻ってこい、こっちだ。」

あまりに迫真の演技に目頭があつくなるのを覚えます。
心臓マッサージってすんごい気力と体力を消耗するんだよ。
簡単なことじゃないんだよ。
脈をとっていた弟の口から「にーちゃん、もう......。」の声を聞いても一向に止める気配の無い兄。今までは他人だったけど、いざ身内が危篤になった時はじめて感じる「死」への尊厳と「命」の尊さ。
医者であるまえに人として「死」「命」と向き合う兄弟。

その時、奇跡は起こります。
父のバイタルが動きだしたのです。
安堵とともにふーっと力の抜ける兄。信じ難い事実に思わず笑みのこぼれる弟。
あまりの素晴らしい表現力に脱帽です。

 *****

さて、二時間の死闘の末、体力を消耗した内科医の兄弟はてっとり早く回復するため自ら点滴です(これはもしや公私混合?)
脱力してソファに沈み目を閉じてる姿は間違いなく母性本能くすぐりますが、保くんから話し掛けられ薄め開けて答えるところもかなり良いです。
息の抜き具合がさ(( ̄‥ ̄)=3 フン)。

点滴済んで帰宅のため身支度を調えます。
袖のボタンとめたり、裾をスラックスにいれたり、クリスマスモードのベストに着替えたりする日常にありそうな行動がワタクシをドギマギさせます(ほっときましょう。)
この動きながら台詞を言うってーのがなかなかいいあんばいなんだよなー。

このころになるとまたもやそこはかとなく流れ出す真田フェロモン。
声はいいし、表情はステキだし、雰囲気はカッコいいし、
これはこんな真田広之を堪能するために作られた映画かしら?
(間違いなくそうでしょう!)

帰ろうとしたところへ急患。
ボトッとクリスマスプレゼントの袋を落とす副院長。
仕草がキュート!
白衣を手に取り、鏡見てヘアースタイル直して、指と顔の筋肉動かして「医者」モードに清々しく変身。
「じゃあなっ」って颯爽と去って行く姿。カッコ良過ぎ。( ̄ii ̄;)

カッコ良過ぎですよ、真田さん。(昇天。合掌。)


実は主役は小泉今日子さんと三上博史さん。しかもテーマは超重い内容だったりします。
「死」のとらえ方や尊厳など、現在の医療の問題点のひとつが浮き彫りになっています。
しかもメリハリあってテンポよく進むストーリーで映画としても間違いなく面白いし。

何気にすごい映画です。滝田監督のパワーを感じます。
そしてやっぱり廻りが濃いっ脇が濃すぎるっ(-_-;)、オモシロ過ぎ。でも、そのなかにもひとつひとつドラマがあって「人」を感じる映画だなー。

 余談ですが、先に「陰陽師」を観ているワタクシ。
プロローグで小泉さんが亡くなられるシーンが、青音様が早良親王の怨霊を吐き出すシーンに見えたりして。
左大臣:藤原元方様(柄本明さん)もいらっしゃるし、何より陰陽頭:道尊様(真田広之)もおいでだし。
うわー、滝田組だー!(笑)

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