NHK大河ドラマ太平記(7)「悲恋」

NHK大河ドラマ 太平記 完全版 第壱集NHK大河ドラマ 太平記 完全版 第壱集

1991年1月~12月 NHK総合テレビにて放送

【キャスト】 真田広之、武田鉄矢、陣内孝則、柳葉敏郎、高嶋政伸、根津甚八 沢口靖子、宮沢りえ、後藤久美子、樋口可南子、原田美枝子、 片岡鶴太郎、大地康雄、榎木孝明、勝野 洋、柄本 明、近藤正臣、 緒形 拳、フランキー堺、片岡孝夫(現・片岡仁左衛門)ほか

レヴュー(第7話)

 正中2年1月(1325) 鎌倉。
鎌倉は一触即発、殺伐としております。
そんな中、石は大男小男コンビ(名前付けてあげよーよ)から藤夜叉の懐妊を聞かされます。しかも相手は不明と…、
って、考えられる相手は一人しかいないじゃん!

 *****

 鎌倉 足利屋敷。
仰向けに大の字に転がり天井を見上げる高氏。
今宵もまた青い衣装が似合ってカッコいいな〜。
牛のように佐々木から言われた「藤夜叉」のことを反芻してます。
無防備に寝っ転がる姿はかなりツボ★
であることを明記しておきましょう。
かーわーいーいーっ。

 そこへ馬右介から長崎円喜が来ることを知らされます。
佇まいを直しながら、藤夜叉懐妊を父母に伝えたか問います。
トンデモナイことしでかしちゃった息子はパパの反応が気になる様子。
思春期だね(違)。
パパンの見解としては赤橋家との縁組みを控えた今、無益な波風は立てぬべし。
目の前のことしか見えて無い息子は心無しか納得行かぬ顔。
はぁ〜、ってため息。
がまた悩ましいのに、ドタドタと最近軽く無視され気味の弟・直義登場。
赤橋家との縁組み反対とものすごい剣幕ですが、兄上はサラリと無視(笑)。
ここで北条に捕われるのか?の言葉にかけて、部屋の片隅にある蜘蛛の巣に捕まった小虫を扇で払うシーンが盛り込まれてます。
いや、気持ちはわかるけど、それより
名家だろ?隅々まで掃除を怠るなよっ!
ってツッコミいれる人の方が多いと思うな。

 *****

 円喜が単身やってきた。
長崎円喜(フランキー堺)は赤橋家との縁組みを念押しし、足利を北条に取り込む目論見バレバレでやってきたのです。
硬い表情の足利側はそのことに関し、
パパン「身に余る幸せ、と執権殿にもお伝えください。」
と頭を下げるから高氏は今ひとつ納得いかないご様子。

 ここで本題。
円喜が何でわざわざ足利家に来たかと言うと、奥州の安東の乱を鎮めんがため。
足利の六千の兵を出し、奥州の諸大名たちを結集させこれを鎮圧されよ、と。
己が手を汚さずにうまい汁だけ啜ろうとする北条の汚い遣り口を目の当たりにし、これが北条に取り込まれることだと実感する高氏をよそにパパンはその要求を飲む素振りを見せます。

 円喜が帰った後の父と子。
肩を並べて座るふたり。
高氏「なぜ断りません?」
パパ「身内と言われればなぁ。」
高氏「では、この縁組みは無きことに。」
あまりの北条の横暴さに怒りのおさまらない高氏は一気に感情を爆発させます。
でも、父は飄々とその場を去ります。

「何ゆえ、何ゆえにっ?!」

と激怒とともに翻るこの身のこなし方に「JAC健在」を感じたことを付随しておきましょう。
普段あまり怒らない人が怒るとちょっとどきどきするよね!(M)

 *****

 佐々木道誉の鎌倉屋敷。
虜の身の藤夜叉のもとへ忍んでくる石。
そこで藤夜叉に聞かされる衝撃の事実「高氏、赤崎の姫を結婚。」
そんな男に会ってどうする?って言う前に
妊婦さんにショックを受けるようなことを言うのは控えましょう。

衝撃の事実に呆然とし錯乱した藤夜叉は「石、連れて逃げて。」と懇願。
惚れた弱味で本当に逃げ出すふたり。
だけどあまりのヘタレっぷりな逃げ方に屋敷の者に見つかっちゃいます。
そこへ忍者出現?!
へっ?!JAC?!
ギバちゃんもトランポリンの助力を借りて思わず一世風靡セピア化。
そんなザッツエンターテイメントに走る前に
妊婦さんに激しい運動(走る、塀を乗り越えるなど)は控えましょう。

おや?
この忍者の親玉はど〜も馬右介のようです。ってことは…、

キタ-------!
白馬に跨がった高氏、その姿はまさしく
白馬の王子様!!

藤夜叉に手を差し伸ばし「乗れ」と片手で馬上に引き上げる逞しさ。
「しっかり掴まっておれよ。」って
お姫様だっこで二人乗り!
高氏の男っぷりの上がった瞬間。
カッコいいっ( ̄ii ̄;)
かっこ良過ぎだ!!
蕩けそう!!!
腰砕けそう!!!
全身の毛穴から出血しそう!!!

(落ち着け落ち着け)
さすがは夢の世界のファンタジスタ真田広之!

思わずしがみついちゃうりえちゃんの気持ちがわかります。
ぎゅっ、って首に抱きついちゃうの。
嗚呼、りえちゃんになりたいっ
素直に羨ましい瞬間ッス★
で、高氏の切なそうな愛おしそうな表情も絶品です。
カッコいいな。
薄暗い夜道。
疾走する白馬。
馬上には抱き合う美男美女。
まさしく夢の逃避行。
恋の炎はその身を焦がすことができるのか?でもね、
妊婦さんを振動の激しい乗り物(馬)に乗せるのは控えましょう。

シーンの全てがスローモーションに見えてくる程、カッコいいです。
たぶん、今宵の夢に出てくるでしょう(希望的観測)。

 さて、どこかに着きます。
馬から下り、神妙な面持ちの二人。
高氏が切り出します。
「子がいると言うのは本当か?」
コクリと頷く藤夜叉。
「そなたを引き取る。足利に引き取る。そのつもりでいたが…。」
雲行きのアヤシイ口ぶり。

まだ幼く若い藤夜叉は高氏に恋焦がれ高氏を離したくありません。
それは高氏も同じこと。
「では、どうして北条の姫君と?
 ここか鎌倉だから?
 京に行けばまたあの時の高氏さまに戻るの?

あの夜のことが忘れられません。」

そうであろう、そうであろう。
藤夜叉の気持ちはようわかる。
黙って切々と語る藤夜叉の思いを聞く高氏。
藤夜叉の希望
 1、高氏と都に戻りたい。
 2、他の女と結婚するのは見たくない。
 3、側室に入るのはイヤ。

我が儘っちゃあワガママだけどさ、好きで好きでたまらない女の子の素直な感情だよね?
共感できるよねっ。
だけど哀しいかな高氏は足利の嫡男と言う立場。

抱きしめあう二人。
好きあってる者同志。
哀しき運命。
愛しい君。

…切なーい(;_;)。

高「わしが一緒に行けぬと申したら子はどういたす?」
藤「一人で育てます。」
高「わかった。すぐには行けぬが明日もう一度ここへ来てくれ。
 決して一人にはせぬ。考えがあるから明日の夜もう一度来てくれ。」

互いに相手を慈しむように愛を確認する二人。
幼くも純粋な恋の行方が切ない。
「好き」なだけではどうすることもできない哀しい男。
そこへ石が現れ、去ってゆく白馬の王子様でした。

 *****

 高氏、帰宅。
いつも思うんだけどさ、真田さんて普通に馬に乗れて普通に刀をさばけたりできるので、乗馬下馬の細かいカットが入るよね(嬉)。

 さて、そこで出くわした新田義貞。
北条の命にて奥州に兵を出すので挨拶に来た、との事。
そうです。
実は高氏は恋愛成就どころではないのです。
今にも大きな戦が始まろうと戦々兢々としているのです。
今までの甘ったるいムードから一変。
足利モードに入る高氏。

「父上、新田殿はどんな話を?!」

だってさ〜、新田さんちと奥州で乱を起こしてる安東さんちは親戚じゃん?
なのに大ッ嫌いな北条の命で安東さんを討つなんておかしいじゃん。
息子の尤もな意見に父も新田の腹は読めていたらしい。
つまり、足利の呼び掛けで奥州にて兵を結集し北条を討つ、って算段ね。
そこまでわかっていながら尚も飄々とした父の煮え切らぬ態度に

「父上のお気持ちは?!」

と詰め寄る高氏。
そこまでして敵となる赤橋家の姫を嫁にとるわけとは?
激情し、怒りの勢いを借りる高氏。

「父上の真意をお聞かせ下され!!」

この現状をどうすれば良いのか考えきれてない息子は、実は幼い恋心で頭がいっぱいなのである。
そしてここぞとばかりに藤夜叉のことを持ち出そうと

「高氏にも覚悟がございます!」

と啖呵をきってみせます。
が、そこは父・貞氏のほうが一枚上手だった。

「どの覚悟だ?
  1、北条と戦う覚悟か?
  2、登子ちゃんと結婚する覚悟か?
  3、どこぞの白拍子と夢のように生きていく覚悟か?」

心を読まれて高氏、絶句。
久々に叱られモードのお子ちゃまに早変わり。
一喝されて頭の冷えた高氏を見て父は言う。
「覚悟は難しい。
 わしが動けば足利は動く。
 これは足利一門の命がかかってるのだ。
 しかし赤橋と組めば戦をせずに済む。
 そうなれば、登子ちゃんは救いの神よ。

 わかってることは足利の頭領として生をうけたこと。
 そしてそこからは逃れることはできぬ。

そうなんです。
高氏もそこからは逃れられない宿命にあるのは明確。
高氏は高氏ひとりの身体ではないのです。
改めて思い知らされ、恋モードを一刀両断され儚く散ることとなる夢の人生に
絶望的な涙目。

両思いで子までいるのに結ばれないなんてまさしく悲恋。

 *****

 幕府では。
連署・金沢と赤橋守時の進言により、奥州討伐は白紙に。
早い話が足利に寝返られては困る、と言う結論に達したのでした。

 *****

 赤橋家では。
正式に高氏と登子ちゃんの婚儀が確定し日取りまで決った由。
妹思いのお兄ちゃんは登子の覚悟を確認し、この鎌倉を戦から守るのはこの守時と登子だと確信したのでありました。

 *****

 その頃、高氏は。
急ぎ馬を走らせておりました。

それにしても乗馬する真田さんはカッコいい。


 今回は何と言っても藤夜叉との二人のり乗馬が見所。
本当に真田さんが夢の世界から迎えにきた王子様に見えます。
気付けばモニターの前で瀕死の重体で叫んでしまいます。
毎回変わるお召し物もかなり見応えあります。
だって、似合うんだもの。
カッコいけど、どこか人間くさい高氏が魅力的です。
恋愛モードと足利モードの狭間で揺れる高氏が素晴らしい。

第六話 →第八話

page top → HOME