モドル

二十歳前夜(since1989)


桜の散る道

授業中に

投石願望

祈り

進展

二十歳前夜

おなじく

変化するもの

感謝





桜の散る道


桜は
思いでの中に立っていました
いつか歩いてきた道の上に
いつか出会った友の上に
立っていました
そして涙のようにはらはらと
新しい道の上に
新しい友の上に
散りかかるのでした
その道を歩いてゆくと
足の下ではなびらが
もの哀しい音をたてるので
私は涙を流しながら
その道を歩いているのです




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授業中に

夢はありますか
あなたの胸に
情熱はありますか
あなたの瞳に

いねむりばかり
おしゃべりばかり
していないで
どうかどうか
遠くの方も見てください

おかしいですか
夢とか情熱とか
古くさいですか

笑いたければ笑ってください
あなたの心は
さみしいですね




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投石願望


投げ込め
小石を
あの歯車に
ぎしぎし軋んで
あちこち腐った
あの歯車に
投げ込め

おいおい
小石って何?
どんなのだい?
どうするのさ?

知らねば
小石も
投げられず





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祈り


紙袋みたいに
寂しさをぶらさげて
少年たちはやってくるのです

本当に欲しいものは
デパートにだって
売ってないだろうに
紙袋の中に
こっそり
何かを入れてみたって
満ち足りた気分に
なれるはずはないだろうに

どうか 彼らが
完全に見失ってしまう前に
欲しがっているうちに
大切なものを見いだせるよう
祈るばかりです




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進展


生きていくための
必要悪が
ひとを進化させる

その先に
何があるのか

木々のかわりに人が増え
夢のかわりにビルが建つ

その先に
なにがあるのか

生きてゆくための
必要悪が
進展の手段となる
恐ろしさよ



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二十歳前夜


認めようとせずに
認められようとしていた
愛そうとせずに
愛されようとしていた
十代のエゴイズム

悲しいほど
ひとりきりで
それが寂しく
喜びだった
十代のヒロイズム

いつまでも
このままではいられない
このままではいけない
たくさんのことを
たくさんのひとを
理解し
愛していこう
−−心に誓って



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おなじく


解放された壁
おなじように
解放されないものか

わたしたちの
心の中にある
目に見えない壁も

言葉や宗教や
さまざまな違いを
越えられないものか

おなじく
地球のひとかけなら
求めるものが
同じなら



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変化するもの


変化することが
たとえ一進一退であっても
やがて
確かな一歩を踏み出せる

考察は
進歩あるいは退歩を
見つめるだろう
行動することの難しさに
気づくだろう
そうして
変化しながら
真の私やひとと世界と
出会うだろう

考察と行動のバランス
変化するものである
私の方程式



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感謝


見えているのは
母の涙 父の背中
離れているから見えるのか
今まで見ようとしなかったのか
私は私の道行きで
時々振り返ると
やっぱり
見えているのは
母の涙 父の背中
そうして感じる
たくさんの愛
斜めに頭を下げて
私は私の道行きで
決して忘れないように
心に焼きつける



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