HOME > 2001〜 > 陰陽師

陰陽師

陰陽師【陰陽師】 
 ■2001.10.06(116) 
 ■監督:滝田洋二郎
 ■原作:夢枕獏
 ■出演:野村萬斎、真田広之、小泉今日子、伊藤英明、今井絵里子、岸部一徳
 ■配給:東宝

  

DVDメイキングレビューにジャンプ。

レビュー

 真田広之側から入ると非常にわかりにくいらしい「陰陽師」。
確かに滝田監督サービス精神に溢れていろんなエピソードが詰め込まれ過ぎかも?
しかも真田広之扮する「道尊」は完全なオリジナルキャラときたもんだ。
原作、コミックをふまえながら史実にまで基づいた内容のため「要解説」みたいな。(笑)

しかし主役は安部晴明こと野村萬斎さんなのに、どう見ても道尊こと我らが真田広之が一番活躍しておられる(*≧m≦*)

 *******

時は平安。
まだ魑魅魍魎と人々が闇の世界で共存していた時代。
今で言う国家機密機関にあたるところが「陰陽寮」と申します。
平安時代の皆様は思いっきり「占い」なんかに頼った政治を繰り広げておられたので、陰陽師と言うのは一応エリート集団なのです。

しかも「陰陽頭(おんみょうのかみ)」はこの機関のトップの存在。
帝にも一目置かれ、陰陽頭のみが「殿上人」なのです。
(だから実際はその他の陰陽師の皆様は帝や源博雅(伊藤くん)たちとは口も聞けない)
そんな中、安部晴明はホントにすごいヤツだったので陰陽頭・道尊もはじめから一目置いてるんだよ。

さてさて、真田広之ファーストカットは雅びな声から始まりますね。
星の吉凶などを帝に伝えるふりして、右大臣・藤原元方(柄本明さん)の激しい嫉妬心を呼び起こします。
品よく誰にもわからぬように「ニヤリ」とする道尊
悪役なのにいい男だなー、オイ。
実は道尊はオリジナルキャラの割には「帝を恨んでる」理由が描かれていません。
だから真田広之パワーの「力技」で悪役しているのです(嗚呼わかりにくいのぅ。)

んで、仁和寺にて道尊と晴明バッティング。
蝶チョ(後の今井絵里子ちゃん)を手を触れずして殺してみせよ、と言われ葉で蝶を真っ二つにする幻覚を見せる晴明。
この時、道尊だけはこの術を見抜いていたのでさして驚きもせず意味深なスマイルを晴明に送るのです。
真田氏いわく「萬ちゃんとは宇宙語で語り合えた」の一部分かな?)
それにしても真田広之は何でも似合うなあ。(ホレボレ。)

 *********

さて、いきなり嵐の中の安産のご祈祷。
どう見たって妖しい雰囲気なご祈祷だよな(-o-;。
一応この時代、出産は命がけ(今でもですが)で悪霊に憑かれ易い場面なので陰陽師たちが必ずご祈祷する。身分が高ければ高いほど、高名な陰陽師に依頼するのさ。

ここで姫君が「男御子さま」をご出産されます。
実はここでも陰陽師の術のからくりがあったのかも知れません。
こんなに都合よく男児を孕むか( ̄ー ̄?).....?
この時代、陰陽師たちはお腹のなかの赤子のすり替えさえも行っていたらしい。
道尊はどうだったのかな?(あのニヤリは...。)

 左大臣家に帝の御子が生まれ、ますます嫉妬の炎を燃やす右大臣・元方(柄本明さん)。
この時代結婚も妊娠も出産もみ〜んな政治や出世が絡んでいるからなー。
そこに目をつけた道尊は元方の心の闇につけ込みます。

どしゃぶりの中、雨にうたれながら元方を見て
「元方さま、ああ、いいお顔をされてますなー( ̄▽ ̄*)ノ・ ・。」
って、誰が見てもおぬしが一番「いいお顔」だよっ、真田広之。
撮影が寒い時期だったため息が白いの。
そこがまたいい感じに仕上がってますね。

 ******

ワタクシにもナゾな道尊のアジト(笑)。
なぜに君は洞窟に住んでるの?
あんな狭いとこにあれだけモノ置いちゃあ消防基準法にもひっかかるってもんだ。しかも式神の烏ちゃんがキュート!(笑)

ここでもよく言われるのが
晴明の式神は人の形(蜜虫)なのに道尊の式神は鳥類(゜ロ゜;)エェッ!??
実は人の形をした式神の術って相当の力がいるのさ。
晴明は式神を駆使したことで有名な陰陽師のひとり。

でも、動物や虫ではなく「樹」や「花」などの精霊を実体化していたらしい。
(原作、コミックではね。史実の記載によれば十二神将なる「鬼神」となる。)
しかも普通の人にはそれが見えない。
だから晴明の自宅は人の気配はしないのにひとりでに蔀戸の開閉が行われたと史実は伝える。

ま、とりあえず悪いことを企むには狭くて薄暗い所が最適!ってなことで。(笑)

 ******

まずは敦平の御子への「呪(しゅ)」対決。
アジトから「呪」をかける道尊。
この響き渡る重低音は(。-_-。)ポッ。。oO♪で聞きたいっ。
この時の組手も陰陽道独特のもの。

んで、道尊はすっげー感じで「呪」をかけてるのに晴明は優雅に扇なの?
萬斎さんが狂言師だから?ではなくて、この時代「病は風が運んでくる」と思われていたので晴明は扇で風を送り邪気を祓おうとしたのさ。

んでも途中でこれは道尊の「呪」だって気付くので(ちと遅いぜ)唱える呪を切り替えるとあーら不思議、バリバリCGが飛び出してくるのです。
 「呪」が解かれてもまだまだ余裕な道尊。
その表情で口説いてほっすぃ〜(=´Д`=)ゞ ♪

 ******

ことごとく敦平親王の暗殺に業をにやした元方さんは青音(きょん2)と晴明を呼び出して斬ろうとします。
でも左大臣に助けられ事なきを得ようとした瞬間、真田広之マニア絶賛な展開が待ち受けています。
 兵隊に呪をかけ青音を斬らせ無表情を保ちますが、その時晴明をゆるりとふりかえり、

「まこと都とは奇なるところでござるのぅ〜。」
って、待ってました!
うるるん瞳ビーム!( ̄ii ̄;)
(↑魅惑のカメラ目線↑)
この目線はいきなり卑怯だーいっ♪

しかも無音状態で真田広之による(お願い耳もとで言って!)
ささやきボイス!( ̄ロ ̄;)
た、たまんねぇ〜!(>_<)
さっすがは「色男」のフェロモンを熟知した滝田監督!
今回もサービスカットを忘れずに入れておいて下さったのねっ!えらいゾ!
「流し目」+「エ○声」のダブルパンチは腰にきます(オヤヂか、おまえは-_-)
嗚呼、堪能堪能♪

 ****** 

こんなサービスカットもありましたね。
実は祐姫を陰であやつっていた道尊。「返し矢」が飛んでまいります。
この「返し矢(呪詛返し)」と言うのは最も恐ろしいもので自分の術を自分で被ることを意味します。(実は現代でもこれは使われているんだと。)

だからあんな矢ごときでとんでもなくボブマーレーに変身するし、最愛の烏ちゃんを助けることもできず、心をわしづかみにされ国民が釘付けになった名(?)場面
「おのれ〜!晴明ヽ(`Д´#)ノ」
になって、道尊は御立腹のまま「将軍塚」にいって早良親王の霊を蘇らせるのさ。

ボロボロ道尊になっていよいよ真田広之の本領発揮か?!
似合うなー、このカッコも。

さて、もうこの辺は史実やら原作やらコミックやらが見事にブレンドされたオリジナルです。
「坂上田村麿」の像にむかって「我天子を恨むこと絶ゆ〜る期無し。」なんて言いながら、剣に自らの血を捧げる道尊。

痛そー、だけど、ここは道尊としてはターニングポイントなので力の入る真田広之。
(ここのメイキングシーンはいいよ。by DVD)
ノリにのって封印ってか結界を解き放ち早良親王(萩原聖人さん)を蘇らせCG攻撃にあいながらも嬉しそうな道尊。
傲慢な高笑いがすてきな真田広之。

 *******

なんでも有りの怨霊をその身に宿した道尊。
まさにやりたい放題モードに突入です。

1、一族の墓参りついでに皆さんの魂を呼びさます。
2、「あの男の作った都など....。」と朱雀門のてっぺんに立ち平安京を見下ろす。
3、壁抜けの術で宮中の堂々と入りこみ、かつての部下たちをビビらせる。
4、「みっかど〜♪」って楽しそうに岸部一徳さんを探索。
5、博雅をいたぶり、さんざんもて遊んでから軽く殺害。
(ここで「矢」が刺さるシーンは「真田広之」「CG」「人形」の合成。by DVD)

さて、ここで死んだふりの博雅を晴明たちが発見。
すると晴明、いきなり泣く。(原作、コミック熟知の者のみ納得できる場面の大御所。)
で、青音の命を博雅に与えるという「泰山府君の祭」を行います。

この「泰山府君」って何?
晴明マニアには有名で彼が得意とした術の一つです。「泰山府君」は中国の山の名前でこの山自体が神様みたいな存在なのです。で、青音の言う通り人に他者の命を与える技です。
ちなみに、ここで萬斎さんはオリジナルの舞を披露されてます。
実際はこんなんじゃありません、もちろん。

 *******

さてさて、生返った博雅の中には青音の魂が宿り道尊の中の早良親王に語りかけ、あっさりふたりは昇天します。勝手なヤツよのう、萩原聖人σ(--#)。

さあて、生身の人に戻った道尊。
悔しがる姿がお茶目さんです。
でも、プライドが許さない上に晴明に対しては魂の奥底では惹かれあっていたのでここで
「JAC」vs「伝統芸能」の異種格闘技戦にもち込まれます。
しかし、どう見ても真田道尊の方が男前だ!
平熱の低そうな野村晴明は主役にしては冷静モード過ぎですね、燃えろよ、みたいな。(笑)

二人とも「宿命」として闘いを受け入れているのでちょっと切なそう。
そして、ふたりとも殺陣がキレイ!!(☆_☆)
素手と剣ってのも見応えありますが、「玉川流」と「和泉流」の舞のほうが見所だ。

二人とも見事なくらい肩がブレない、さすがだ。
さらに接近戦の時、道尊が晴明の顎に手をやり「惜しい男よのぅ...。」って滝田監督のご趣味全開モードだわっ。

切ない眼差しで晴明を見つめる道尊の瞳。

フッと軽く晴明の唇をかする道尊の指先

一瞬、道尊に身を委ねる晴明の後れ毛・・・

真田広之、野村萬斎、どっちも好きなワタクシ的にはたまりません(ノ≧▽≦)ノ

岩手県江刺市「歴史公園 えさし藤原の郷」で繰り広げられる陰陽師対決。
ワイヤーアクションの晴明に対し素足で砂利の上を駆け回る道尊。
カンペキに真田広之がリードして上手くいったアクションシーン。

このシーンに限らずこの映画に対する真田広之の貢献度は大きい。
んでさ、どう見ても結界作ってる晴明の動きを読めない道尊ではないんだけど気付けば「晴明桔梗」(セーマン)に封じ込められているという結末。
(お前も陰陽師なら気付けよ、とか言わない)

最後は自らの命を絶ち微笑みながら絶命、うっすら流れる涙付き
たぶん、その命は密虫に与えたのであろう。
(でも、どうせなら今井絵里子より真田広之に生きていてほしかったなー。<笑>)

エリート集団のトップからちょっと笑えるワルの美学までを見事に演じきった真田氏。
しかもきちんと同じライン上に基づいた表現力。
今までにない役でまたもや新境地を開拓。
嗚呼、やっぱりあなたなしでは生きてけない。

必見!メイキング(by DVD)

購入したDVDはニ枚組でした。
んでメイキング映像が満載!その中のインタビュー・キャスト編での真田広之。

■インタビュー
最後の闘いの合間に撮影されたのか「えさし藤原の郷」の一角でボブマーレー状態の道尊さま。
ボロボロのカッコでインタビューを受けてるのに紳士的な落ち着いた穏やかなフェロモンを醸し出しながら道尊について語る真田広之。

切れ長の目から溢れる優しそうな雰囲気。
役作りについて自分の意見を語る姿は決しておごらず役に対する真摯な姿勢そのものです。道尊という人物を完全に自分のものにした上で彼の「人」の部分と「ワル」の部分を探究する真田氏。

その結果があの全ての人の印象に深く刻み込まれる道尊さま。
真田氏ならでは愛すべき悪役です。
ワタクシ的にはアップになる度に形の良い唇が気になり
時折のぞくキレイな歯並びにノックアウト。くらっ\(*T▽T*)/♪。

■メイキング〜製作編
・坂上田村麿の像を破壊するシーン。
リハーサルで何度か試し切りのカッコをして、ちょっと違う(?)と感じた時ペロっと舌を出して照れ笑いする真田広之。かわいいぞーっ(>o<)

ここのシーンは色んな角度からのメイキングショットがあるのでGOOD!
最終リハーサル(?)で像をにらむ表情が前ななめ45度から撮影されてますが、その時の目、目が〜っ!
「きっ!」としながらもうるるん瞳光線炸裂中!みたいなっ。
吸い込まれちゃうっ(*^0^*)

ここの本番は一発OK!で監督・スタッフから思わず歓声と拍手が起こる。
さすがのカンロク!
んで、ここを撮り終えてフーッと一服しながらセットから出ると待ち受けていたメイキング用カメラにビックリ。
それでも優し気にインタビューに答えて「汗だく」なんて微笑む姿が大人な真田氏。
タバコ片手の道尊さまなんてここでしか見れないわ。

・将軍塚で早良親王の怨霊を復活させるシーン。
寒空のした、火を起こしたいっと缶で暖をとる真田広之。
風の音からしてもかなり寒そう。
思わずメイキングカメラに向かって苦笑いしながら「寒い」って唇を動かします
その時のヤンキー座りがチャーミング!みたいな。(^o^)/

んでも、寒い中の一人芝居は続くのであった。
巨大扇風機に煽られたり、山中の台の上で叫んだり....、
その時の真田氏の大きな独り言
「早く人間と絡みたーい!まだ誰とも共演してない(笑)」
これにはスタッフも苦笑いでした。

んで、念願の初カラミは「仁和寺」。
「つまらぬことを申すな、方術に優れてこその陰陽師ぞ。」

・ラストの晴明vs道尊。
真田氏に憧れてJACに入った諸鍛冶さんが二人に効果的なアクションを考えて指導されていきます。
真剣に二人はリハに取り組むものの、スキあらば......、
「待て〜ぇっ」と野原で追いかけごっこでもするように
萬斎さんを追い掛けるお茶目な真田広之。

現場のほのぼのした雰囲気が伝わってくるなんとものどかなワンシーンです。(#^_^#)
まだまだふざけて踊る萬斎さんを横目に
みんなこっちおいで、あのオジさんほっといていいから。
と若手のほうに歩みよるシーンもラブリーΨ( ̄∇ ̄)Ψワッハッハ〜♪。

しかし本番になればうってかわっての真剣な眼差し。カッコいい〜!
 日本ではまだ珍しい(らしい)ワイヤーアクションのテストを見て、萬斎さんが不安気に「大丈夫かな?」と聞けば、一瞬萬斎さんと見やって
「ああ見えて意外に頑丈。」
と不安を払拭してあげる 経験豊富なアクションスターの貫禄の真田広v(≧∇≦)v いえぇぇぇぇいっ♪

精神面でも他の役者さんたちの支えになっておられたのね。
でも、あの砂利の上を素足で走る真田広之。
カットが入ると「イテテテ。」と聞こえてきそうな走り方。・゚・(*ノД`*)・゚・。。
なんかの雑誌では3日で慣れた、と言われてたけど痛かったよね。
でもそんなことは微塵も見せない役者魂。
そして、あのダイナミックな殺陣vs舞になるのです。

■メイキング〜VFX編
・道尊が博雅から矢を射られ額に突き刺さるシーン。
ここは真田広之の演技力なしにはあり得なかったシーンだと、特殊効果班も大絶賛な場面。
真田氏は矢の突き刺さった表情と口から矢を出すアクション。

矢はもちろんCG。実際に突き刺さってる時の道尊の顔は造型。
この三位一体が絶妙なハーモニーであのシーンを作り出している。
実際、真田氏の口から矢は出ていない。(当たり前だ。死ぬ。)
だけど、ホントに口から出したように見えるよね。さすがだ、すっげー!!
矢の長さもピッタリで爽やかに特殊効果班の度胆を抜いちゃう真田氏、お見事\(▽ ̄\( ̄▽ ̄)/ ̄▽)/。

■未公開シーン
・道尊がアジトで烏ちゃんを抱いてなでなでしながら妖し気なな佇まいでほのかに微笑む。何とも言えずいやらしい顔つきで印象的な色香が漂ってました。(笑)

一応、晴明(野村萬斎さん)がメインな映画なのですが道尊が真田広之でなければありえなかったことが色濃く反映されているメイキングの数々でした。(笑)



陰陽師陰陽師 陰陽師 2 陰陽師2―野村萬斎写真集 陰陽師ときがたり絵巻 陰陽師2―ときがたり絵巻 萬斎でござる


by G-Tools

page top