NHK大河ドラマ太平記(5)「危うし 足利家」

NHK大河ドラマ 太平記 完全版 第一巻NHK大河ドラマ 太平記 完全版 第一巻

1991年1月~12月 NHK総合テレビにて放送

【キャスト】 真田広之、武田鉄矢、陣内孝則、柳葉敏郎、高嶋政伸、根津甚八 沢口靖子、宮沢りえ、後藤久美子、樋口可南子、原田美枝子、 片岡鶴太郎、大地康雄、榎木孝明、勝野 洋、柄本 明、近藤正臣、 緒形 拳、フランキー堺、片岡孝夫(現・片岡仁左衛門)ほか

レヴュー(第5話)

 渾沌した時代。その渦中にある足利家。
高氏が捕まったこと=御家人中最大の力を持つ足利家に対し北条が宣戦布告をしたと思われ、緊迫している鎌倉なのであった。

 侍所。
 あらぬ嫌疑をかけられ、長崎円喜の策略にはまり虜になった高氏。
暗がりの獄中でこの身を思いハッと息を呑み宙を睨む凛々しいカットからはじまります。

 父・貞氏は連署・金沢貞顕邸にて罪人同様の扱いを受けている愛息子について怒りを隠せずにいます。
実はこの高氏捕獲の首謀者は長崎円喜であること知らされます。
どーにかして長崎は足利を沈めたいのでチャンスは逃さないと言ったところ。

 幕府。
執権・北条高時(片岡鶴太郎)は公務中。
へ〜、執権殿は仕事してるんだ〜。という細かな感想は置いといて貞氏は高氏のことで執権殿に頭を下げにきてます。
でもねちねちといじめる高時。
その後、長崎に会い、またもやねちねち言われます。
だけど、貞氏は長崎には頭を下げることができません。
だって、似合わない黄色い衣装(しかも派手)だし。
と思ったかどうかは知りませんが、長崎にはどうしてもできないのです。

帰宅すると、高氏の身を案じ詰め寄る弟と家臣。
しかし父のただならぬ雰囲気に弟は家臣をたしなめます。
(このあたり弟・直義が後の策略家としての腕を発揮する伏線です)
そして、貞氏は長崎に頭さえ下げれば、(20年もやってきたことなのに)安穏と暮らしていけるとわかっていてできなかった自分の不甲斐無さを妻に洩らします。パパのせいじゃないよ、泣かないで。
だって、息子が可愛い過ぎるんだからっ

 *****

 侍所。
連署・金沢貞顕の計らいにより、父はやっと捕らえられている息子に面会できます。
格子にもたれ天を仰ぐ高氏、顔にはうっすら無精髭…、
って、整い過ぎだぜその無精髭。
(自前?メーク?どちらにしても全然「無精」じゃねーよっ)

そこへ父登場。
思わず佇まいを正す息子。
下唇を噛んでかしこまってチラッと上目使いで父を見ます。
これもう完全に
叱られる前のお子ちゃまモード★
何でこんなに可愛い顔ができるんだ、真田広之31才!
でも父の眼差しは優しかった。
息子「父上…。」
父 「変わりないか?」
息子「はい。母上は?」
   ・
   ・
   ・

って、泣き出しそうな安心したような子どもの顔! 
かなり母性本能総動員されます!
面目ないと頭をたれて、ちゃんと反省してる息子。
わかってる、って顔の父の温かい表情にホッと胸をなで下ろす息子。
そして、格子越しに父に近付きちょっと上目使いでヒソヒソ声で語りだします。
この時のますます精悍な顔つきにする陰影の付け方。
照明さんナイスアシスト!

高氏「此度のことは高氏だけの試練とは思えません。まして足利でもない。これは我らの鎌倉がいかほどのもかの試練です。高氏をそれをこの目でしかと確かめたい。それで合点のいく裁きなら甘んじて受けましょう。されど、合点のゆかぬ時はこの牢を蹴破ってでも北条と一戦構える覚悟。父上はいかがなさいます?」

などと言うではありませんか!
この短期間でよう成長した、さすが我が息子よ。
とは言わない父ですが、京へ行きひとまわり成長した息子に目を細めるのでありました。そして
「其方、いかなることがあろうとも見殺しにはせん。」
父の力強い言葉に自分の進むべき道は間違ってはおらず、また父の深い愛を感じちょっぴり感動して瞳を潤ます高氏。
自分の気持ちが伝わったことを知り、一段と男の顔になったのでした。
カッコいい(≧∇≦)
(とても素直な感想)

 *****

 さて花夜叉一座。
日野の処刑の列い遭遇。
藤夜叉は昼飯時にも関わらず政治ネタをフリます。
政治ネタQ1、日野さんはどうなるの?
A、侍所→審問→裁き→処刑、でも鎌倉の真の狙いは帝を謀反の張本人にすること。
政治ネタQ2、捕まった足利さまの息子って?
A、足利高氏であり、鎌倉はこの機に足利をも討とうと目論んでる。
政治ネタQ3、足利高氏さまは?
A、非常にヤバイ!

と、ここでドラマでよく見かける吐きそうに手で口を抑えて「うっ」。
(@゜Д゜@;)あら・・・??
出て行った藤夜叉は呑気に唄なんか歌ってます。
そこへ花夜叉がきて「もしや、足利さまの…。」
Σ('◇'*)エェッ!?
コクリと頷く藤夜叉。てことはつわりかいっ
えーっ?たった1回やっ…(以下自主規制)
ピンポイント御懐妊の藤夜叉ちゃんでした。

 *****

 幕府、審問の間。
髪は乱れ、髭は伸び、クマまでこしらえた高氏。
微妙なやつれ具合が精悍度アップ。
力の入ってる高氏の緊張感が伝わってきます。
長崎円喜の罠により、日野と会っただの、淀の津で親しげだっただの、詰め寄られる高氏。
何を言われてもガンとして身の潔白を主張します。
この時の公式の場での台詞が硬いの難しいのって。
よく噛まないよな〜(感心)。
さあ、互いに一歩も譲らぬ攻防戦。
そこへ証人として佐々木道誉が召し出されます。
今回も衣装が派手だよ。
高氏、危機一髪!

佐々木「執権様から内々のの命を受け、謀反の内状を探っておりました。」
って、いけしゃあしゃあと語り出す佐々木に
え?一体どっちの味方だよ、あんた?
と不信感あらわな高氏(そりゃそーだ)。
日野を裏切った事実を告白し、日野が自分の屋敷に「足利高氏」なる若者を連れて来たと語るから
高氏、絶対絶命!

表情崩さないようにチラリと横目で佐々木を見る超真剣な顔が素敵です。
さぁ、どうなる?高氏の運命や如何に?!
続きはCMの後で。
--------って、NHKにCMはないじゃん!(←バカ)

駄菓子菓子!

佐々木は連れて来られた足利高氏はこれなる者であったかと問われ
「此は足利殿にあらず!」
とぬけぬけと答えるではあ〜りませんか!
ちょっぴりあっけにとられる高氏をよそに「うちに来た足利殿は身の丈3尺もあとうかという鬼のような大男でござった。この方ではありませぬ。」

「かかる不思議のあることよ。」

といきなり古語辞典に出てきそうな台詞まわしで高氏のピンチを救ったのでありました。
それをゆっくり見つめる高氏の目は安堵でちょっと潤んでます。
そしてそ〜っと肩で息をする高氏。
身の潔白が証明された高氏。
渾身のアップ(*^_^*)
よかったよかった。

 *****

 ここで一気に足利を潰そうとしていた長崎の策略失敗。
しかも味方と思っていた佐々木に「儂に指図できるは執権殿のみよ。」と言われちゃいます。

 *****

 侍所。
赤橋守時が高氏に真義を問いに現れます。
「足利殿は何を考え、何を行おうとしているのか?」
この守時は登子ちゃんの実兄です。
この時、登子ちゃんの口添えとして「東国で育ち武家人がほんの数日で公家に与しこの東国に弓を引きましょうか?」つまり、鎌倉生まれの鎌倉育ちが京の都に数日いただけで公家さんの考えに賛同し、鎌倉に仇なすとはにわかには考えにくい。と言うことです。
その問いに対し高氏は
水のような綺麗な瞳で相手を真直ぐに見つめ
「京は何もかも生き生きしている。京は動いている。それに比べ鎌倉は足利も含め腐っている。だから私は都で生きてみたいと思った。」と
実直かつ素直な意見を述べるのであった。
今置かれている立場も顧みず、自分の考えをハッキリ物申す高氏に感銘をうける赤橋兄。
真直ぐな高氏の人柄にも惹かれたことでしょう。
澄んだ瞳の底に眠る人としての強さにも。
そして、人を魅了して止まない内面から滲み出る美しさにも。
よっ!美貌の貴公子!!
でも、これを北条側に言うにはかなりの気力を用いたらしくちょっと興奮気味な高氏なのでした。
しかし、その思いは通じたらしく赤橋兄に同意されます。
しかもありがたい忠告まで受けます。
「敵は長崎だけではない。気短になられるな。」

 *****

 さて、登子ちゃんは兄に高氏の真義と問います。
そして、足利殿に嫁に行ってもいい程良いか?と問われ、考える間もなく元気にお返事します。
この時、可愛い妹の嫁ぎ先は高氏のとこしかないと勝手に決めた兄でした(たぶん)。

 ここに奥州(津軽)で戦がぼっ発。
ただちに召集される赤橋兄。
時を同じくして高氏救出大作戦の作戦会議中の足利家にも珍客が。
それは、現在、戦中の安東の使者を連れてきた新田(ショーケン)。
自称貧乏御家人である新田の謀で、この度の高氏留置の件を用い、皆が腹すえかねる思いである長崎を討ちたい、そのために足利を奮起させようという。

 *****

 そのころの幕府。
朝廷の勅使が届きましたが、その書面を見るの見ないの揉めています。
天子が武家に身の潔白を記した書状は、来ただけで意図はわかるしこのような前例が無い以上、開かずに返すのが筋、という赤橋&連署サイド。
そこにちゃちゃを入れる長崎サイド。
ど〜でもいい執権殿。
で、結局が薬局、赤橋さんが奥州で起こっている安東の戦の元を正せば幕府内の不正が原因であることを主張。
不正を行ってるのは長崎サイド。
ここで書面を開け、朝廷を敵にまわすことになりそこに足利が加担するとなれば幕府側の勝ち目は薄らぐことになり、他を裁く前に自分らが正しくあらねばならぬ、とか何とか言って高氏の無罪さえも勝ち取る赤橋兄。
話し聞いてるうちに面倒臭くなった執権殿の「足利とは仲良くのぅ〜。」の一言で高氏の無罪放免決定。よかったね。
 で、ここで立場が揺らいできたのが長崎円喜。
血圧上がる勢いで息子に八つ当たりします。

 *****

 足利家に連署・金沢さんが高氏の無罪放免を伝えにきます。
それを聞き清々しく天を仰ぐ父・貞氏。
思わず飛び上がって両手を広げちゃったりして。
「愛する息子が無罪放免じゃ。」
とは言いませんが、泣きそうに目を潤ませる父の姿がいじらしい。
大喜びの弟、並びに家臣の皆さん。
もう、高氏ったら愛されキャラなんだからっ

 *****

 キリッと引き締まりながらも「よくもこんなとこに閉じ込めてくれたな」と言わんばかりのちょっぴり横柄な態度で獄を出る高氏。
久しぶりの青空が眩しい。で、思わず
「しゃ---------------っ!!」
って、たぶん「よっしゃあ!」のつもりで両手を思いきり伸ばし地に飛び下りる高氏。
嗚呼、似た者親子。
という個人的な感想は置いといて、今回のことはしかと肝に命じ、大きな瞳に何か新たな決意を秘めたような高氏の男の顔が印象的なのでした。

今回は皆の愛が高氏を救った!って感じ(意訳)


 内部で細かい争いごと多過ぎだよ、鎌倉幕府。
ってか、みんな執権殿とそれを操る長崎が嫌いなんだよね。
それを「源氏」の名のもと何とかしちゃおう、っていう太平記前編なのでした(笑)。
 少しずつ、でも着実に吸収し成長していく足利高氏。
人をまとめる者の才覚を知らず身につけていく過程が素晴らしい。

 

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