NHK大河ドラマ太平記(4)「帝、ご謀反」

NHK大河ドラマ 太平記 完全版 第一巻NHK大河ドラマ 太平記 完全版 第一巻

1991年1月~12月 NHK総合テレビにて放送

【キャスト】 真田広之、武田鉄矢、陣内孝則、柳葉敏郎、高嶋政伸、根津甚八 沢口靖子、宮沢りえ、後藤久美子、樋口可南子、原田美枝子、 片岡鶴太郎、大地康雄、榎木孝明、勝野 洋、柄本 明、近藤正臣、 緒形 拳、フランキー堺、片岡孝夫(現・片岡仁左衛門)ほか

レヴュー(第4話)

 時の帝・後醍醐天皇は内部の争いにより弱体化した朝廷に内部干渉する鎌倉幕府が大ッ嫌いでした。しかも、やりたい放題の自分たちに都合のよい腐り切った政治をやっています。だから、公家さんたちパワーを結集して討伐を試みたワケです。言い出しっぺは他ならぬ帝ですが、矢面に立ってるのは日野俊基。それが幕府にバレちゃって困ってしまってワンワンワワン。

 元亨4年9月19日早朝。
目覚めたら夢のあとだった高氏くんはフラ〜っと佐々木さんちを出て来ます。
街はうってかわって殺伐としたムード。
険しい面持ちで街の異変を目の当たりにし、生唾をゴクリと呑み込む高氏。
コソコソとその場を立ち去ります。

 さて、上杉邸では馬右介が苛立たしげに高氏の身を按じております。
そこへ「疲れた〜。」と言わんばかりに坊ちゃん帰宅。
「若殿!」
と馬右介の一喝にビクッとする高氏は帰りが遅くなって怒られちゃうお子ちゃまそのものです(可愛い)。
怒る?ってチラッと流し目しちゃう高氏。
これだけで何でも許すぜぃ★

馬右介と室内に入り「日野」のことを聞かされます。
幕府討伐が露見し、その首謀者・日野が追われていること。
そして、その日野と面識ありと嫌疑をかけられてる高氏の身の上。
しかし、高氏はスッカリ日野さんに賛同しちゃってるんで、とりあえずは逃げおおせたと言うことに安堵のため息。

「日野殿に会って、京にきて少しわかった。」

そう、高氏は鎌倉が井の中の蛙であることを知り、今の幕府の在り方の根本が間違ってることを悟るのです。
その思いを熱く語る高氏は確信に満ちた迷いの無い目で口元はキリリと引き締まっております。

「世の中は動くぞ、動いているのだ。」

って、少年は少し大人になりメッサいい声で語るのだった。
しかし、今はそれ所ではない。
下手人・日野との関係が取りざたされ上杉の叔父さんは呼出されており、追って、高氏が呼出されるのも時間の問題なのです。
その事実を突き付けられ一抹の不安の過る高氏。
この若さゆえの心細さの繊細な表現が高氏をいっそう魅力的にしています。
さすがです、真田さん。

 *****

 近江。
さて、ちゃっかりものの佐々木さんはすでに逃げてます。
相変わらず派手な衣装です。
ってか、この佐々木さんが密告したんだけどね北条側に。
だって、高時の小姓だったし…、え〜っ!?小姓だったんだ(意外)。
という個人的な感想は置いといて、ましらの石(若いギバちゃん)と藤夜叉(りえちゃん)のやりとりの一部をのぞいてみましょう。

藤夜叉「笑うと水のような綺麗な目で…。」

「舞は見事でした。」って言われて舞い上がって高氏に恋しちゃった藤夜叉の感想なんですが全くもって共感できる台詞ですね。さすが

瞳の魔術師★

見つめられたらそのまま吸い込まれてしまいそうな深い瞳の真田さん。
その真田さんが人の弱さも合わせもつ足利高氏の繊細な心情を潤んだ瞳で表現され視聴者をノックアウトしてしまう所以であります。

 *****

 京・六波羅探題。
一点を見つめドシッと構える足利の嫡男。
ビシッと顔を引き締め「おトボケ」続けます。
この堂々たる振る舞いは後の大将である風格さながらです。
いやらしいジジィどもの執拗な詮議のもとに声高に自分の釈明をする高氏。
この時代背景。
平家全盛の今にあってはキビシイ状況を強いられる源氏。
辛い立場の高氏。
でもこの大きな瞳で訴えられたら何でも赦しちゃうけどな★
背伸びするような高氏の目が可愛いですね。

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 さて、鎌倉では「高氏、六波羅詮議」の文を手にする父・貞氏。
世話をかける馬鹿な子ほど可愛いものです。
のちに重要アイテムになる「八幡大菩薩像」を拝む母。
そして父は言った。
「子というのは不思議なものだ。手元にあっても遠くにあっても親を刺す。」

 幕府。
貞氏は急ぎ馬を走らせ、長崎円喜(フランキー堺)のもとへ。
もちろん息子の不始末の赦しを乞うため。
長崎に頭をさげ「ご指示を仰ぎに」と言えば、しゃあしゃあと「ご案じなさるな。」と大嘘をこくくそジジィ。
金沢貞顕(タイム24・児玉清)にこの討伐の首謀者は帝であることを知らされます。
そしてその参謀・日野と知り合いならばマズイ立場であることも。

 *****

 朝廷。
謀反がバレて公家たちは戦々兢々。
幕府に「全ては日野の一存」であり帝は関与なしとする文を送ることになります。
帝はこのとき初めて自分には幕府に立ち向かう兵もなく、力をもち過ぎた腐った果実が腐臭をまき散らすを止めることすらできぬ非力さに屈服するのです。

 *****

  その頃の日野さん。
町人に変装して糸を紡ぎ中。
ってか、この人って何気にコスプレ好きだよな。
と言う個人的な感想は置いといて、この時日野さんは捕まる覚悟をしています。
良い時代を作り出すために犠牲になることを選んだのです。
そして、ましらの石に短刀を楠木に渡すように託すのでした。

 *****

 高氏釈放。
長々と続いた詮議が終わり高氏は釈放されズカズカと退出します。
口とがらせて拗ねちゃってるお坊っちゃん。
ふて腐れてる顔が可愛いなっ
そこで日野が捕らえられたことを知ります。
唇を噛んで耐える高氏。
だけど何も言えません。

 門を出てお迎えに来た馬右介と上杉の叔父さんに一礼。
馬の顔を撫で撫でして気を落ち着かせようとする高氏。
馬になりて〜( ̄〜; ̄)
と一瞬、視聴者の心を煽ったところに捕まった日野登場。
蔵人殿は縄で縛られ(今で言う手錠)、見るからに下手人です。
はっ!と息を飲む高氏。
何か言いたげに日野を見つめます。
日野もまた高氏と目で会話するようにじっと見つめ返します。
水のように澄んだ真直ぐな瞳★
切なくなりながら、ちょっと泣き出しそうに俯く姿が捕獲心をそそります。

この辛さを耐える潤んだ瞳にザッツ マジックを感じます。
硬い表情のまま馬右介に促されて乗馬。
ちらりと日野の行った後を見つめちゃう
儚げセクシー目ビーム★

 *****

 京を追われるようにして鎌倉へ向かう高氏。
快晴に映える高氏の可憐さ。
とでも言いたくなるほどのお天気です。
なのに馬上で高氏の表情は曇ってます。
ここでまたもやワガママ坊ちゃんモードに突入☆
「また将軍の御座所で北条殿をご機嫌を伺わねばならぬのか?」
「またあの汲々とした生活に戻らねばならぬのか?」
みたいな台詞を軽く髪を乱しながらちょっぴり遠い目で訴える高氏。
まばゆい太陽光のもと美の女神も嫉妬するような麗しさです。
ここで高氏が言いたいのは要約すると、

1、京で帝を見てしまった。
(上にたつ人はあのくらいキレイでなくっちゃ)
2、京の街を見てしまった。
(好奇心をそそられる豊かなものがい〜っぱい)
3、京で初恋しちゃった。
(一夜の情熱が忘れられない)

と言うことなのですが、高氏カンペキに
♪恋する女はキレイさ〜(って男じゃん)
 決してお世辞じゃないさ〜(真実だよね)
を地でいってしまってます。
鎌倉を出る前と出た後ではかなり心境に変化が出てしまっているのです。
そう、高氏は苦しいほどに藤夜叉に恋してしまっていたのです。
惚れっぽいやっちゃな〜(^_^;)

など、恋に思いを馳せながら馬上で仰向けになる脚力!
さすがはJAC!

「馬右介〜っぃ、私はどうすればよい?」
と素直な自分の思いをぶつける高氏。
完璧な人間なんていません。
高氏だっていろんな経験を経て迷い、壁にぶち当りながら進んで行く人の子なのです。
そんな人間的な弱さがまた魅力。

とか何とかやってると北条殿の手の者が高氏を捕らえに来ちゃった。
足利の嫡男と知っての無礼極まりない行為に思わず刀を抜こうとしますが、ここは鎌倉。足利は「忍」の一文字なのでした。

 *****

 さて、高氏をとらえた幕府っていうか長崎円喜。
実は前々から足利をどうにか失脚させるチャンスを狙っていたのです。
だから今回は足利をはめる最大の機会だったのです。
この腹黒タヌキにとって足利は脅威以外の何者でもないらしい。

 *****

 足利家。
久々に登場した弟・直義が北条にはまられたと大騒ぎ。
父・貞氏も息子救出に乗り出すのであった。

 その頃の息子・高氏は…、
獄中にて薄やみにその妖艶な御姿を浮き上がらせ視聴者を翻弄中。
ゴロ〜ンで寝転んではぁ〜ってため息( ̄ii ̄;)
悶々とした表情がたまりません。
見回りを睨み、上目使いに流し目★キラーン

真田さんてどうしてこう眼力がセクシーなのでしょう?
♪ため息が出ちゃうっ(恋のバカンス)


 今回のお話も説明の方が多いです(笑)。
とどのつまり、鎌倉幕府を討とうと立ち上がった帝中心の公家の策略が佐々木道誉の密告で露見し、そこに深く関与した疑いありと高氏が捕らえられ、あわよくばこのまま足利を滅ぼしちゃえと思った長崎の腹黒さが際立った一話でした。

 この回は高氏の恋モードな瞳が堪能できまする〜★

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